元祖メンズギア、あの男が帰ってきた!

 今日はS級戦もなく、お昼のガールズ劇場を観戦、そしてヤラれた後は仕事したりしなかったりとぼんやり過ごしていたのですが、Twitterのタイムラインに流れた玉野競輪公式からのツイートに我が目を疑いました。


 増成!!!増成富夫!!!

 増成富夫が病に臥せっていたのはスポニチ斎藤哲也さんのコラム(参照)で知っていたのですが、復帰戦を走っていたことはこのツイートで初めて知りました。一年ぶりの復帰戦。初日は見事な先行を見せたものの最後ほんの少し末を欠いて4着でした。しかし病み上がりの先行とはとても思えない、巨体を揺らした大迫力の走りです。そして今日の初勝利。バックからゴゴゴ…と(ほんとそんな感じなんですってば)捲り、出切ると、実況の宮原英治さんのボルテージも上がります。「おかえりなさい!増成富夫!」ダイジェストなのに思わず目に熱いものがこみ上げます。

 最近、山口幸二マサ斎藤の引退をはじめとして引退ラッシュもあり、寂しい話題の多かった競輪界ですけど、本当に嬉しい復活劇ですね。哲ちゃんのコラムにもあるように、私生活でも競輪でも常に豪快な選手です。勝っても豪快、負けるときも豪快。まだ20世紀、ほとんどの選手が3.57か3.54のギアで戦っていた頃ですが、当時破格の大ギアだった3.85のギアで戦う選手たちがいました。誰が呼んだか、「男のギア」「メンズギア」。その代表格が増成でしたね。まだ今ほどウェイトトレーニング理論が発達してなかった頃です。多くの「メンズギア」の使い手たちが次々に膝を痛めて戦列を離れていったり下位に低迷するなか、増成は波はあったものの上位で踏ん張って、徹底先行を愛する客の寵愛を集めました。わたし?もちろん大好きですよ。数少ない瀬戸内の鉄砲玉でしたからね。

 増成のように大病を克服した選手に青森の高谷敏史(91期)がいますね。こちらも哲ちゃんのコラムに詳細があります(参照)。高谷も増成と同じく徹底先行の選手です。徹底先行の競輪選手はすごい!

 二人ともずっと練習を仕事としてきたアスリートです。それが長期にわたって病の床に臥せった後、復活するんですから並大抵のことではありません。こんなすごい競輪選手たちのことをもっと世の大勢の人たちに知ってもらいたい。総選挙を前にしてもなんの希望もないこの国に少しでも光を灯してくれる存在なんです。そういった競輪選手達とともに泣き、笑い、悔しがり、戦う時間を共有してくれる人が増えればいいのにな、と心から思います。