朝日新聞の論調がB先生並な件

 昨日の平レインボーまっさかさまレースは珍事としてテレビや一般紙でも報道されています。ヤフーニュースのトップにもきてますよ。よい広報になったかもしれませんね。大津の全員落車のときより話題になっている感じです。全員落車を珍事として報道するのは怪我した選手がいることを考えると憚られるのかもしれませんね。実際のところは、怪我が軽傷だった場合と比べると、追走義務違反によるお仕事干されのほうが本人にとっては痛いと思うんですけどね。

 新聞各紙はだいたい同じような文章なのですが、朝日新聞の記事だけ少し毛色が違います。

競輪の全国組織JKAも「聞いたことがない」ほどの珍事。序盤から中盤にかけて牽制(けんせい)し合う中、1人がスパート。ところが8人は追走せず、「勝利に全力を尽くす」との競技規則に違反。独走した選手も走路違反でアウトに。結局、賭け金はそのまま返還されることになったが、8人は同競輪主催のレースに1年間出走停止の罰。「やる気がない」の判定に、賭けた人たちは「言葉もない」。
出走9人全員失格 いわき平競輪「やる気がない」判定

 カギカッコ使いや茶化した感じの半端なギャグがなんだかB先生みたいです。そんなんだから赤字になるんですよ。わたしも今年は競輪負けてますから人のこと言えませんけどね。

 
 それはともかく、米欄で師匠が指摘してくれた件です。長塚先生も問題提起しています。

 問題点を端的に表現すると、失格選手は失格判定時に失格となるのか、それとも失格判定を経て失格行為時に遡及して失格となるのかということですよね。純粋に制度論の話になりますけど。

 これは難しい問題です。制度も今回のようなケースは想定していなかったでしょうね。長塚先生のおっしゃるように失格選手に対する追走義務はないとも考えることもできますが、他の失格に関する制度との整合性を考えると、解釈の上では追走義務違反を採られても仕方ない気がします。すなわち、斜行によって選手を転倒させて失格になったケースで、失格選手に転ばされたんだからレースをそこからやりなおせということはできませんよね。

 ただ、今回の場合、先頭で仕掛けた矢端選手がリプレイ動画にも明らかな派手なイエローライン踏み切りを行っていますので、こういったケースでは後続の選手に矢端選手の失格は共通認識になっていることも考えられます。そこで、本件のような場合は例外的に先頭選手の即時失格を認めてもよいという考え方もあるでしょう。しかし、後続選手全てが先頭選手の違反を承知しているかどうかは主観の問題ですので、客観的判断が求められる競技規則にはなじみません。

 では、イエローライン踏み切り選手は、競艇のフライング同様に全て即時失格で外に退避すべしという制度はどうでしょうか。これだと客観性は担保されますが、競走の性格上危ないですし、筋肉も精神も緊張状態にある中で失格コールを聞いて実際すぐに退避できるかと言えば疑問です。そのまま先行した場合は競走の公正にも関わります。

 そんなわけでありまして、解釈上も制度設計上も、失格選手に対する追走義務違反はやっぱり失格でしゃあないのではないかというのがわたしの結論です。