競輪業務の包括民間委託について考える


 最近検索エンジン経由でこのブログにいらっしゃる方で一番多いのが、「○○競輪+民間委託」のような感じで検索する方です。毎日複数アクセスがあります。そういう方が一般競輪客かあるいは施行者なのか参入を目指す業者なのかは分かりませんが、関心が高い様子が窺えます。


 今の所、包括民間委託を実施しているのはH15年からの花月園のみですが、この4月から小倉も行います(参照)。*1また、大津が包括的ではないようですが民間委託を検討するというニュースも先日ありました(参照)。そして例の改革案には、包括民間委託の積極推進が盛り込まれています。


 このように競輪業務の包括民間委託の流れがどんどん加速しています。これはいわゆる小泉改革の一環でもあり、実際他の分野でも行われていることです。表向きのメリットとしてはコスト削減や「民間活力」というキーワードに表れているようなサービスの活性化が挙げられます。


 これを競輪業務に当てはめてみます。コスト削減の点では、人件費の削減にあまり取り組んでこなかった施行者は委託によって人件費問題を一挙に解決できるでしょう。逆に、すでに人件費を抑えることに成功している施行者にはこの点でのメリットは余り無いと言えます。活性化についてはどうでしょうか。花月園には行った事無いので詳しいことは分かりませんが、これといった話も聞かないので、効果のほどはどうでしょう。というか委託先の業者の能力にかかってくることなので花月園だけではなんとも言えませんね。


 その花月園の業務を委託しているのは南関東自転車競技会です。自転車競技会は特殊法人ですから純粋な民間委託とは言えないんですね。小倉の業務を委託したのは九州自転車競技会と株式会社コアズ(警備会社)です。やはりここでも自転車競技会が絡んでいます。自転車競技会の本来の業務は競輪場の審判や検車といった競走に関する業務ですから、以前から競輪場で商売しているとはいっても、客に接する仕事や宣伝とは大きく分野が異なります。それで果たして活性化がうまくいくのかどうか。


 施行者の経営難ばかりがクローズアップされますが、実は全国の自転車競技会も最近は赤字経営です。ついでに言うと日自振も補助金以外の振興会の運営に関する一般会計では赤字です。自転車競技会は一本化して公益法人化する方針みたいですが、競輪場の現業に関わる人数はたいして減らせない以上、経営は苦しいままなのではないでしょうか。


 そこで、包括委託推進の狙いは自転車競技会の経営改善ではないかと考えました。各地の競輪場の業務を自転車競技会が受託して費用を徹底的に削って運営すれば、赤字体質から脱却できますから。それは経産省の省益に適うことでもあります。


 こちら経由で知ったのですが、小倉のレースの並び情報を提供する勝手メールや勝手FAXが民間委託によって経費節減の名の下に廃止されるんだそうです。あれはナイター競輪という商売の特性に応じたよいサービスだったのですが・・。民間とは名ばかりの商売の素人が考えそうなことです。


 今年から来年にかけて全国の競輪場が民間委託に走るでしょうが、しっかり客商売できる業者がまっとうに選定されることを望みます。そりゃ経費節減も大事ですが、削るところは他にたくさんあるはずです。

*1:3/5追記。この4月から豊橋も包括民間委託します→http://d.hatena.ne.jp/zevon/20060113/1137167202

通勤通学時 10分間隔ライトレール 平日132本 ダイヤ発表

 富山ライトレールの開業に合わせ、富山市公営競技事務所は競輪開催日に富山駅北から競輪場まで運行している無料バスを廃止する。ライトレールが日中十五分間隔に運行するため、競輪場専用のICカードを発行し、運賃を負担する。


 専用ICカードは五百円で発行。ICカード購入後は、場内の読み取り機を通すと競輪場発着分の運賃が無料となる仕組みで、競輪ファン層拡大を狙う。利用できるのは競輪開催日の一日一往復。同事務所によると、バス廃止などに伴う経費削減効果は約千五百万円。 


 これはナイスアイデアですね。無料バスは大事ですが、客が大幅に減った今では費用対効果に疑問がありましたから。

平日は朝の通勤通学時間帯が十分間隔、午前九時〜午後七時台は十五分間隔で運行、平日の本数は富山港線の三十八本から百三十二本に増える。

 

 利便性もバスよりよさそうです。富山は競輪場のまん前に駅がありますし。ただ、今まで無料バスの恩恵を受けてきた遠征客には若干のサービス低下になるかもしれません。


 というわけで富山に行ってきました。