笹川の続き


 このエントリの続きです。


 笹川良一への評価は、週刊誌等の「黒幕」的悪評か、『笹川良一研究』をはじめとして死後に出された本に描かれる偉人・聖人君主的評価かに二極分化されます。しかし、あくまでも感覚的なものですが、どちらも笹川の一面しか明らかにしていないと思うのです。多分清濁合わせ飲みの破天荒なじじいだったと思うし、そういう人物像のほうが、単なる慈善家イメージより魅力的だと思うのですが。宮崎学あたりが書いてくれないかな。


 ともあれ、『笹川良一研究』を読んで日本財団(日本船舶振興会)に興味を持ったところで、図書館の新入庫コーナーでこんな本を見つけました。

日本財団9年半の日々

日本財団9年半の日々


 まさか自分が曽野綾子の本を読む日が来るとは思わなんだ。「様々な慈善活動に銭を使ってますが、ちゃんとチェックしてますよー」という話がメインなのですが、なるほどと思わせる話もありました。元々は競艇客から集めた銭ということで広報費についてはとくにチェックを厳しくしていて、TVスポットなど大いに経費がかかるものは前会長時よりかなり減らしているんだそうです。確かに昔より観なくなりました。その代わり(本の中では関連づけられていませんでしたが、広報戦略として意識はしているはず)、日本中で日本財団のマークがでかでかと貼られた寄贈車が1万台以上走っているわけです。あほうなCMを垂れ流し続けている日自振は見習ってもらいたいものです。どっちが役に立ってるかはともかく、高価な検診車10台より1万台の福祉車両のほうが宣伝効果は大でしょうし。


 あと、これは基本的なお話なのですが、日自振は特殊法人ですが、日本船舶振興会はあくまで民間の財団というお話。どちらも競輪・競艇の売り上げから交付金を得てそれを配分しているのは同じですが、船舶振興会はそれだけ弾力的かつ迅速な補助ができるとのこと。うむむ。


 下重暁子が日自振の会長に就任するというニュースを聞いたとき、即座に思い浮かんだのは、「曽野綾子のパクリ?」でした。船舶振興会の会長の権限はかなり強大で結構やりたいことができたそうです。過去の黒い噂から脱却すべく、情報公開も積極的に行っています。さっき初めて船舶振興会のサイト見てみたら、その充実ぶりに驚きました。毎日更新される会長(今は笹川陽平に替っています)のブログなんかもあったりして。日自振は特殊法人ですから事情は大きく異なるんでしょうけど、下重会長にもそろそろ目に見える形でなんらかの施策を打ち出してもらいたいのですが、どうなっているんでしょうね?