今週読んだ本

国家の自縛

国家の自縛


 めちゃくちゃ面白かった『国家の罠』(ISBN:4104752010)の著者に、旧知の産経新聞の人がいろいろ話を聞いた本です。産経の人が聞き手なのでナショナリズム方面の話が多いです。佐藤優氏は元外交官(しかもものすごく有能な)ですからある意味職業倫理としてナショナリズムを身につけているわけですが、その論旨は神学や社会学歴史学の深い教養に裏打ちされた説得力のあるもので、自称農本アナキストのわたしも非常に考えさせられてしまいました。後半のネオコン分析も同様。ただ、自身の体験と論理が重厚かつ絶妙にブレンドされた前著に比べると迫力は劣るかな。


 余談ですが、この本は図書館から借りてきたんですけど、新しい本なのにいっぱい鉛筆で線が引いてありました。線を引いている箇所はナショナリズムについて一問一答している部分の「首相は靖国参拝すべし」とかの結論部分のみ。この人どこ読んでるでしょうか。結論に至る論理がこの本の白眉なのに。


S級2班



 ギャンブルレーサーもとうとう最終巻です。最高の競輪教書だったこの漫画についての想いは以前書きました(参照)。ここではこれからの田中誠に対する希望を。


 わたしは15〜ハタチくらいまでは競馬にどっぷり漬かってました。でも、高松にWINSが出来たのは大学進学のため大阪に引っ越す直前の頃で、それまではテレビ中継もなく、土日にMBSやABCのラジオを一生懸命聴いてお勉強していました。そんな情報が少なかった頃にお世話になったのが上にある片山まさゆきの漫画でした。個性的な競馬客がたくさん登場して実際にあったレースで予想を競う漫画です。打ち切りになったのか、元々麻雀漫画の人なので最初から1年で終了する予定だったのかは分かりませんが1巻で終了。しかし、トンデモな予想も含めて、いろんな予想の仕方を勉強することができました。


 もし田中誠がまた競輪漫画を書く意欲があって、それにページを割いてくれる雑誌があるならば、こういう漫画を1年くらいでいいから書いて単行本にしてもらいたいのです。展開を恐ろしく論理的に読む客、人間関係や義理人情を最重要視する客、風やバンクの特性を科学的に検証する客・・いろんな客を登場させて、実際にあったレースを題材として競輪の様々な予想の仕方を分かりやすく描く教科書があったらいいなあと思います。初期ギャンブルレーサーの教科書性をより高めた感じのが。