KEIRIN化に反対する理由その2〜タテだけのKEIRIN


 基本的に2つの視点からタテだけのKEIRINには反対です。そしてその上で落車事故の問題について思うところを述べたいと思います。


 まずはだいたいこちら(参照)に書いたことですが、タテだけじゃなくてヨコの動きがある程度容認されていることによって、選手間の人間関係や、競輪道に代表されるルール化されていない掟や規範が表出し、それが競輪予想の面白さを増している点。10年くらい前の競技規則改正時に『ギャンブルレーサー』のセリフにありましたが、ヨコの動きを許さないのであれば「バンクに馬走らせとけ!」って感じです。人間だからこそヨコに動かなければならない理由があるのです。


 もう一点は、たしか以前バクチウチ!でシグナルRightさんも書かれていたような気がしますが、ヨコの動きの迫力は若者に対するアピールになる可能性があるということです。


 ちょっと話が横道にそれます。日自振がJOC公式支援団体になったときの下重会長の発言に…えーと、これを引用しようと思って読み直していたのですが、最初にアップされた文章と微妙に変わってますね。最初にアップされた文章の一部はこちらのエントリ(参照)で引用していました。もう一度引用(変わった部分を太字で強調しています)↓

契約締結式では、日本自転車振興会下重暁子会長が「公式支援団体になったことを嬉しく思う。ケイリンアテネオリンピックで銀メダルを獲得したが、ケイリン人気は海外に比べてやや劣る。国内の知名度を、これを機会に上げていきたい」と挨拶。


 この発言には欺瞞があると思い、先のエントリで苦言を呈したのですが、今はこう変わっています。

契約締結式では、日本自転車振興会下重暁子会長が「公式支援団体になったことを嬉しく思う。チームスプリントアテネオリンピックで銀メダルを獲得したが、自転車競技の人気は海外に比べてやや劣る。国内の知名度を、これを機会に上げていきたい」と挨拶。

 指摘した部分だけちゃっかり直してますねえ。まあやだ、このブログ見てたのかしら。というか下重会長の本当の発言はどっちだったんでしょうか。  えーと、最初の発言を導入にして話を進めようと思ったのですが、思わぬ発見に話の腰が折れてしまいました。最初にアップされていた文章を前提に話を進めますが、そこでの下重発言においては、海外ではKEIRINに人気があるように読めます。でも、後で直された文章からも分かりますようにそれはあくまで自転車競技の範疇でのことです。そのことはGoogleの検索数からも読み取れます(参照)。オリンピックのとき以外に興味を持たれていないスポーツが海外で人気があると言えるでしょうか。自転車競技ファン以外にも訴求して初めてKEIRINが海外で人気を得ていると言えると思います。そしてKEIRINではそれは無理でしょう。オリンピックの正式競技となって6年経ちますがブレイクの気配はありません。  しかし、KEIRINではなく競輪には自転車競技ファン以外の目を惹き付ける可能性があります。競輪のレース動画を観たアメリカ人がヨコの動きの迫力に好意的だったという話は何度かしましたが(こことかこことか)、実はこんな感想を抱いたアメリカ人もいたんです。
I think the Japanese found the only way to get the American public to actually want to watch bike racing. Its brilliant! http://www.smithersmpls.com/2006/06/japanese-kerin.html
 アメリカでは、自転車競技はヨーロッパほどの人気はありません。が、ヨコの迫力も備えた競輪ならば、自転車競技に興味が無いアメリカの大衆にも受ける可能性があるということです。それがギャンブルスポーツとしてではなくても、アメリカで人気が出ればその人気を日本に逆輸入することも不可能ではありません。うまくいけば日本の若者が競輪場に殺到しますよいやまじで。日自振の偉い人にはもっと競輪というソフトに自信を持ち、世界的な視野で広報戦略を持って頂きたいと思います。それこそグローバルなインターネットを上手く利用すればコストはたいしてかかりませんよ。    長くなりましたので落車とルールの問題についてはまた後日。