経済学的思考は競輪的思考

 これのあとがきなんですけど

 「経済学的思考のセンス」がある人とは、インセンティブの観点から社会を視る力と因果関係を見つけだす力をもっている人だと筆者は考えている。


 ここで説明される「経済学的思考」とは、競輪原理主義者展開派にとってはまさに競輪予想の思考に他ならないではないですか!


 競輪選手は賞金稼ぎですから、そのものズバリの金銭的インセンティブはもちろんのこと、ラインの誰かに恩を売って後で回収しようと考える、また、ラインの先行選手を残しつつ賞金の高い決勝戦に進出しようとする間接金銭的インセンティブ、あるいはライバルに負けたくないなどの名誉欲インセンティブ、その他いろいろなインセンティブを抱えて走ります。そんな観点から展開予想を積み重ねるのが展開派競輪客です。


 そしてその展開予想から論理的に導かれる…すなわち因果関係のある目を買います。極端な話で恐縮ですけど、奈良で市田の捲り追込みが決まると考えて市田のズブズブを買うのは展開と因果関係がある目とはいえません。それでも因果関係があると言えるには、例えば市田は捲り位置を獲る過程で誰かを転ばして失格するだろうという条件を付け加えなければならないでしょう。市田の捲り追込みが決まるという展開推理と因果関係のある目は捲り切りスジか市田-先行の番手のはずです。


 この本は身近な話題からスタートしてインセンティブの考え方を学びながら経済学プロパーな論点に進んでいくスタイルで「経済学的思考のセンス」を学べるようになっていますが、そういったセンスを楽しみながら学ぶことができ、上達すればお金も儲かるかもしれない競輪はさらに優れた経済学の教科書と言えるかもしれません。


 学生さんも車券を買えるようになりますし、全国の経済学部の学生さんは週に一度は競輪場に足を運んで勉強するべきでしょう。わたしはプロパーな経済学は大学1年の教養科目で挫折した人間ですが、経済学的思考は知らず知らずのうちに大学4年から学び続けています。学べば学ぶほど深く楽しいです。今日の弥彦9Rなんかとっても楽しかったですね。ポイントはライバル心インセンティブでございました。


 そうそう、一時期このブログの読書カテゴリで読書録を付けていましたけど、競輪の話にこじつけられない関係のない読書の話題は別ブログでやることにしました。よろしければこちらもどうぞ。↓