『日本カジノ戦略』

 

日本カジノ戦略 (新潮新書)

日本カジノ戦略 (新潮新書)

 

極楽カシノ
ラスヴェガス物語―「マフィアの街」から「究極のリゾート」へ (PHP新書)
 ネバダ州の大学院でカジノ経営を専攻し、本場ラスベガスのカジノで長年働き、今はエンターテイメントに関するコンサルタント会社(参照)を経営している人が書いたカジノ本です。客側から書いた本は森巣博のとか、研究者の立場(客でもあるでしょうけど)からのは谷岡一郎せんせーのとかありましたが、経営側からの日本人著者の本は珍しいのではないでしょうか。そらまあラスベガスで働いた経験のある日本人なんてそんなにいないでしょうから当然ですけど。


 しかしラスベガスのカジノの、上客に対するコンプと呼ばれる特権のゴージャスさはすごいですねえ。ホテルのスイートルームはもちろんのこと、ジェット機による送迎とかにはびっくりしますねえ。競輪場にも送迎バスはありますけど…。もちろん赤字覚悟でそんなサービスをやっているわけではなく、客の落としてくれる金を綿密に計算した上で、最大限効果のあるサービスを提供しているわけです。


 以前にもちょっとそのようなことを書きましたけど(参照)、ばくちの最先進地であるラスベガスから、そのサービスのシステムについて日本の公営ばくちも見習う点があると思うんですよね。著者もあとがきで書いています。
 

日本のギャンブル産業の売上減少の原因として「レジャーの多様化」や「人口の減少」が取り上げられている。もし仮に「レジャーの多様化」に影響されていることが事実であるならば、自らを「多様化」してはどうだろうか。「ギャンブル」という単体の商品に一刻も早く見切りをつけ、まだ余力のあるうちに「リスク」を取り、「エンターテイメントとしてのギャンブル」という「総合的な商品」を追求するのだ。本書では、そのための多くのヒントを挙げたつもりである。活路はまだまだ存在するのである。

 
 日本の公営ばくちのお役所体質や寂しい懐事情からは、そのような脱皮が実現できるかどうかは疑わしいような気がしますが、競輪関係者や憂競輪の徒はとりあえず読んで損はないと思います。新潮新書ですから内容平易ですし。


 ちなみに、さきほど松戸最終で伊藤ヤスの捲りカマシ関連を買っていたわたしといたしましては、遡及的に落車払い戻しサービスを実施していただきたい気持ちでいっぱいです。*1落車失格車券は「車券購入チケット」で払い戻すとかどうでしょうねえ。


 別の視点からの感想は、「ぶくぶくこえだめBLOG」のほうに書きました。

*1:武井の番手で大槻が粘って伊藤の捲りがコーンと行ったところを競り合いのあおりを受けてヤスライン全滅落車…