競輪国際主義〜アジア編

 万国の競輪客よ団結せよ!・・・って競輪客は日本と韓国にしかいないわけですが。ヨーロッパやオーストラリアのベロドロームのバンクの内側で、フォーマルなかっこしてワイン片手にマディソンやポイントレース観てる連中はいろんな意味で競輪客じゃないし。


http://www.keirin.go.jp/nkg/news_index/news_index20041126.html

 韓国の競輪学校に当たる組織の先生方が修善寺の競輪学校で二週間近くにわたって研修したそうだ。韓国に競輪ができたのは10年ほど前。ソウルのアジア大会や五輪のために建てた競技場の維持費捻出のためにスタートしたのだけど、今は競輪場も3場に増え、しかも発祥の国と違って売上げは増え続けている。一番新しい釜山競輪場が出来たのは1年前だから本格的に選手数を増やす必要があるのだろう。韓国競輪が日本の競輪と一番違うのは、7車立てでラインの概念の無い「ケイリン」に近い競走形態を採っている点だけど、将来は9車立てを考えているそうで、この点でも選手数の増加が求められる。


http://www.ccrc.or.kr/japan_chanwon/index.jsp


 ここで韓国競輪のレース動画を観る事ができる。333バンクで残り2周まで誘導がいて、誘導が退避しても打鐘まではそのまんまペースも並びも変化なく進み、打鐘過ぎに誰かが仕掛けてようやく動き出すといった感じ。脚力のレベルがまだ低いということもあるけど、点と点の競走で、ラインの援護が見込めないから仕掛けづらいというのもレースが単調な理由だと思う。9車立ての計画は、その辺を改善するためなのかな。まさか、日本で今でも競輪が大人気と勘違いして、日本人観光客の集客目当てに日本のレース形態に近くするってことではないだろうけど。でも、日自振が旅行会社に働きかけて人気の韓国ツアーに競輪観戦を組み込んでもらい、実際に競輪に触れる機会を作って日本の競輪の売上げ増加を図るというのは意外とありかもしれない。


 ところで、9車立てとなればさすがに点と点の競走では予想がしづらいから、ライン戦の導入も検討されているとか。日本のライン戦は紆余曲折の末に今のような地区別ラインに落ち着いたけど、韓国ではどうなるんだろう。儒教色の未だに濃いお国柄だから、ラインの先頭が年少者ならどかーんとキップ良く先行、番手なら捨て身でブロックみたいになるのかも。師匠の滝沢先生を背負ってもさっぱり仕掛けない伊勢崎のような選手はボロカスに野次られたり。なんにせよ儒教的価値観は、脚力以上に選手の人格や人間関係が重要なライン戦と親和性が高い。
 

 儒教といえば最近中国で儒教教育が復活しつつあるらしい。中国の北京は2008年の夏季五輪の開催地だけれども、ソウルのように自転車競技場が後に競輪場に転用されないかなあ。中国は今五輪に向けての選手強化真っ最中だろうから、アテネでの日本の競輪選手のメダル奪取*1に刺激されて、選手層拡大のために競輪を始めるとかあればなおよし。博打としても少なくともコオロギ相撲よりは面白いと思うんだけど。中国なら地域ラインが面白そう。過熱しすぎる恐れもあるけれども。単騎のウィグル人がゲリラ的に暴れまくったり、内陸農村地区のラインが広東省あたりの選手をアンコにして(挟み込んで)下がらせる名付けて毛沢東作戦というのができ・・るわけないか。
 

 韓国競輪立ち上げには日自振が大いに協力したけど、もし今後競輪をやりたいというアジアの国が現れたらどんどん職員や元選手を派遣してほしいところ。今後日本の競輪選手は余ってくるだろうし。韓国競輪の控除率は日本より高い30%だそうだけど、他の国に競輪を輸出するときも控除率は日本より高く設定させて、日本のテラ銭の安い競輪に外国人観光客を呼び込み外貨獲得というのはどうだろう。そしたらカジノなんて要らないし。もっともカジノは警察およびそのOBの莫大なパチンコ利権を侵食するから、警察にそれだけの見返りを提供しない限りできっこないんだけど。

*1:皮肉なことに、活躍の一番の要因は競輪を休んで五輪競技用の練習に専念できたことだけど