エアロバイクの友

近所に最近スポーツクラブが出来ました。田んぼと山しかないところにそんなもん流行るのかいなと思っておりましたが、多くの会員を集め、連日混雑しているようです。ファミリー会員だと安く入れるのだそうで、家族のおつきあいで2月3月だけ通うことになりました。最近太り気味ということもあるのですが。


こんな空気のいい田舎なのに、屋内でルームランナーに乗ったおばはんがニコニコしながら汗を流している姿には、端的に言って違和感を覚えます。しかし、銭を払った以上はなるべく楽しまないと損であります。この施設には大浴場がついておりまして、汗をかいたあとに入る広い風呂はすごく快適、これは否定できません。風呂入りにだけ来る人も多いようなので、この大浴場が本当の売りなのかもしれません。


自転車主義者のわたしは、マシンジムを使うとき以外はたいていエアロバイクに乗っています。有酸素運動ですから、一定時間以上続けて乗らなければ意味がありません。しかし困ったことに、生来落ち着きの無いわたしは同じ場所でずーっとペダルを踏んでいることに苦痛を感じてしまいます。風景が変わればなんぼでも踏めるんですけどね。かといってテレビをほとんど観ないわたしには、エアロバイク付属のテレビは先手を取れない金山栄治(滋賀)並みに役立たず。そこで、もっぱらiPodで音楽を聴きながら汗をかいています。聴くのはたいてい20分以上ある長い曲ばかり。この1曲が終わるまでは乗っておこうという動機付けにも使えるからです。


香川県の誇る徹底先行にして補充大王川島聖隆選手のこのエントリを見るに、個人差はあるでしょうが競輪選手の皆さんも競走前にローラーで30分ほどアップされる模様。
そこで、エアロバイクやローラー台でのアップで退屈しないため、そしてテンションを上げるための、お勧めの長い曲を紹介してみたいと思います。


20分台

ザ・トゥー・サイズ・オブ・フェラ

ザ・トゥー・サイズ・オブ・フェラ

フェラ・クティは長い曲が多く、レコードの片面1曲は当たり前、両面で1曲なんてのも珍しくありませんので、このような用途に最適です。ハイテンションが延々持続するアフロビートの特性もまた自転車を漕ぐのに適しています。
このザ・トゥー・サイズ・オブ・フェラに収録の「J.J.D」はレコード片面分のみの収録で完全版ではありませんが*1、テンポも速く、回転数を上げたいとき向け。しっかり踏みたいときは『コンフュージョン/ジェントルマン』の「コンフュージョン」がお勧め。


不滅の男

不滅の男

遠藤賢司バンドのライヴ集です。2枚目冒頭の「輪島の瞳」が25分強の大作。輪島のプロレスデビュー戦から始まってプロレス論→人生論→宇宙論に至る歌詞世界が圧巻。安易な「プロレス=八百長」論を吹き飛ばす中盤の歌唱はそのまま競輪にも当てはまり、競輪客必聴。演奏はドラムとギターのみですが、嶋田吉隆のドラムがズッシンズッシンと重い。ガッチリ踏みましょう。


FEDAYIEN IV / フェダイン
渋さ知らズでお馴染みの不破さんがベースを弾いていた3ピースのハードコア・プログレッシヴ・肉体労働系フリージャズバンドフェダインですが、これは2000年の解散直前に発表された音源。フリージャズとはいってもリズムはフリーフォームではありませんので自転車漕ぎに使えます。収録2曲ともに20分越えていますが、「パリ空の下〜ラジオのように」がとにかくシリアスかつ熱い。フェダインといえば、フロントの川下さんがいつも大汗かいて、ときには鼻水垂らしながらサックス吹いていたのを思い出します。「何が何でも脂肪燃焼!」という悲壮感に満ちたダイエッターの方は是非お試しを。



30分台

LONG SEASON

LONG SEASON

35分の曲が1つ入ったアルバムです。ミニマルなリズムがずーっと鳴っていてこれまた自転車に最適ですが、それ以上に素晴らしいのは、声や全ての楽器が一遍の無駄もなく絡み合って、素晴らしい浮遊感・幻想感を最後まで持続させている点でしょう。前後左右を佐々木邦彦(兵庫)を女にしたようなおばはんに囲まれてエアロバイクに乗っているときに最適です。現実から離れた夢の世界に連れて行ってくれます。
余談ですが、わたしは今は無き西宮競輪の場外発売時には、ケンするレースの発売中はたいてい上層スタンドで寝っころがって本読みながらフィッシュマンズを聴いていました。最高に気持ちよかったです。


40分台

PYRAMID

PYRAMID

そしてこれは43分の曲が1つ入ったアルバムです。冒頭のアンビエントなパートで身体をほぐし、ジャンベ乱れ打ちで身体を暖めたあとは、17分過ぎから大トランス大会。しかもだんだんテンポが上がってゆき、最後は気持ちよくもがかせてくれます。


番外

ツール・ド・フランス

ツール・ド・フランス

厳密には1曲ではないのですが、ツール・ド・フランスを題材にした一大テクノ組曲です。自転車用語がヴォコーダーによってちりばめられています。そしてやはり自転車に合います。ソフトな音使いが快適にペダルを踏ませてくれましょう。
クラフトワークの中の人は大の自転車好きだそうですので、日自振は一度競輪観戦に招待してみてはどうでしょう?うまくすればクラフトワークの次作は、打鐘の音をサンプリングしたテクノにヴォコーダーによる「センコウ」「インネバ」「マクリ」「コジキ」「バカ」「シネ」などのヴォイスの載った『KEIRIN GRAND PRIX』となり、クラフトワーク好きのインテリおじさまやおされ若者を競輪場に呼び込めるかもしれません。



ところで、競輪選手の皆様はレース前のアップでテンションを上げなければいけませんが、レースの構成や脚質に見合ったテンションの上げ方があると思われます。


二段駆けの先頭で自分を犠牲にしてラインを引き出さなければならない逃げ屋さんは、サイボーグ009のオープニング曲などどうでしょう?

サイボーグ009 SUPER BEST~サイボーグ009 生誕40周年記念盤~



小橋正義(新潟)や浜口高彰(岐阜)などの大金持ちマーク屋と競ることになった弱小マーク屋にお勧めなのが、頭脳警察の「世界革命戦争宣言」です。

頭脳警察 1(ファースト)

頭脳警察 1(ファースト)

ブルジョアジー諸君!我々はぁ!世界中でぇ!君たちをぉ!世界革命戦争のぉ!以下略

*1:完全版は今回の再発では見送られた模様。名作なのに。