シーズンイン


 うちはそこそこそれなりにド田舎でありまして、この季節になると家の横を流れる用水路で蛍を見ることができます。とはいっても、思わずサクマ式ドロップの缶を取り出したくなるほど乱舞しているわけではなく、一度に視界に入るのはせいぜい1〜2匹といったところ。しかしそれだけに、成虫となって短い期間だけ光を放つ蛍のはかなさがより心に沁みます。


 競輪でも、この季節のじつに短い間に淡い光を放つ選手が主に負け戦に1〜2匹生息します。それは競走得点が微妙に足りなくて困っている選手たちです。
 気持ちの良い初夏の日曜の昼下がり、四国競輪インターネットライヴに繋いだら高松のF1は7Rの周回中でした。あれ、九州の並びがおかしいな。自力型の内村豪の前をマーカーの中井大介が回っています。ああ、もうそういう季節なのですね。てっきり6月に入ってからだと思っていました。昔と違って今は1期が半年もあるからシーズンの始まりも早まるわけですね。中井は打鐘過ぎからメイチで発進。最終バック藤原の捲りに併せて内村が番手から出ました・・・が藤原に1車分出切られてしまいます。それでも内村は藤原の番手で粘り、外を派手に飛ばして根性で2着流れ込んだけど、派手にやりすぎて失格。はかなく来々期のS級が泡と消えました。


 シーズンインと分かれば射幸心がうずきます。人間の走る競輪で一番難しいのは、選手のモチベーションを読むことです。得点帳じり合わせシーズンになれば選手間のモチベーションの優劣がはっきりするのでレースが読みやすい。さっそく次の8Rを予想しました。点数が欲しそうなのは、先行1車の曽我部匡史と、関東で伊藤公人の後ろを回る小野竜一郎。関東2車は脚見せで曽我部の後ろを競る構えを見せています。
 曽我部の番手は地元山下隆でしたが、歴戦の伊藤に勝てるとは思えず、よって曽我部=伊藤、伊藤-小野、曽我部=小野で勝負。曽我部の後ろは案の定もつれ、伊藤は番手を獲り切りましたが小野は最終ホームで行方不明になったあげくに落車。伊藤の後ろには競り負けた山下が収まり、この2人が曽我部後位から突き抜けました。あああ。


 しかし季節は始まったばかりです。今日落車した小野は明日7Rで山田英樹の番手があります。また6Rは補充参加の米崎賢治が実に臭います。結局観音寺には行けなさそうなので、高松のこの辺のレースで得た銭を観音寺に電投で回したいと思っているのですが。