先人の教え

 阿佐田哲也先生が競輪について書いた文章をまとめて読める書籍は本屋にはもう何年も置いてないわけですが、短い文章ならば探せばいくつか読むことができます。


競輪=八百長論に対して書かれたエッセイなのですが、少し引用します。

 競輪選手を正義の士とは思っていない。しかしまた、不逞の輩とも思っていない。環境には特徴が多々あるが、することは大体、一般人と同じである。あえていえば、一般人の中でも、わりに素朴な人たちに近い。
 わたしは選手たちを競輪選手だから信用していないのではない。私たちと同じ人間だから信用していないのである。同じ理由で、競輪関係者、現場事務員、役人、客、すべて信用していない。それも私たちと同じ人間だからである。
 競輪や競馬に限らない。どこの会社だろうが銀行だろうが、善人だろうが悪人だろうが、思い込みで信用はしない。


もちろん極度の人間不信というわけではなく、逆に、これこそが競輪を長く楽しむコツだと思うのですが。