差別主義


 民事裁判のしくみについてストーリーを追いながら簡単に解説した本を読んでいましたら、こんな一節がありました。主人公が「地代を払わないくせに競馬や競輪に金を注ぎ込んでいる」と悪い噂を立てられたため、名誉毀損で損害賠償を請求しようと息巻いている場面です。

「馬鹿なことを言わんでください。あっしは確かに競馬をやったことはありますが、天皇賞やダービーの馬券を趣味で買うくらいで、競輪なんてとんでもないことで・・・


 ・・・競輪なんて。
 一橋大学大学院の山本和彦教授は競輪を差別しているのでしょうか。どちらも博打には違いないはずです。その差別の不当性は、上の文章の競輪と競馬を入れ替えてみるとよく分かります。

「馬鹿なことを言わんでください。あっしは確かに競輪をやったことはありますが、競輪グランプリ寛仁親王牌の車券を趣味で買うくらいで、競馬なんてとんでもないことで・・・」

 
 あれ?ものすごく違和感があるのはなぜ?


よくわかる民事裁判―平凡吉訴訟日記 (有斐閣選書)

よくわかる民事裁判―平凡吉訴訟日記 (有斐閣選書)

 
 今から裁判を起こすぞ(あるいは、起こされたけどどうしよう)という人には内容が軽すぎるんでしょうが、法学部の1年生や、民事の裁判報道をちゃんと理解したいという人には最適の本だと思います。民法などの実体法の知識が無くてもさくさく読めます。