今週読んだ本


競輪選手になるには (なるにはBOOKS)

競輪選手になるには (なるにはBOOKS)

 職業ガイド本シリーズの中の1冊ですが、書いているのは中野浩一。現役選手のインタビューもたくさん掲載されています。神山雄一郎太田真一、滝沢正光先生、長塚智広、成田和也など。競輪選手を目指す若者向けに書かれたものでしょうが、競輪のルールやライン戦にも簡単に解説が加えられていて、「競輪客になるには」にも使えます。
S級2班


蜂起

蜂起

 出世のために汚れ仕事を率先してこなすノンキャリ警察官、競輪好きの時代遅れな伝統右翼、リストカット癖のある女子高生、被セクハラOLなどの生態を通して現代日本の病理(笑)を描く前半と、彼(女)らの反乱の顛末を綴った後半の二分構成の小説です。


 前半には延々と性描写が続く箇所もあり、掲載されていた週刊金曜日の読者からは批難が渦巻いたそうです。あれ読んでる人たちってあんまり洒落が通じそうにないからねえ。競輪好きの右翼が主人公の章では、競輪グランプリ03と2004年東王座戦の模様にも大きく頁が割かれています。小説に競輪がちゃんと出てくるのは珍しい*1ですが、これも金曜日の読者に怒られたかもしれません。ネタバレになるので詳細は書きませんが、最後のリスカ少女の独白は金曜日読者を含む今の左翼への痛烈な皮肉なんでしょうね。カジノ*2を主戦場とする森巣ですので、控除率25%の公営競技も思いっきりDISってますけど。
 

 面白かったですが、日本で(カルト以外の)テロがなぜ起きないかということも話の中で論じつつ、それでもテロが起きる説得力のある理由を書き込んで欲しかったという気もします。
S級2班
 

*1:伊集院静佐藤正午を除いて

*2:森巣は「カシノ」と表記しますが