先週読んだ本〜二輪乃書ギャンブルレーサー第6巻

二輪乃書ギャンブルレーサー 6 (イブニングKC)

二輪乃書ギャンブルレーサー 6 (イブニングKC)


 今発売中のイブニングでもってギャンブルレーサーは連載終了だそうですね。たまに立ち読みはしていたんですが、主に単行本で読むほうだったのでまだ最終話は読んでないんです。最終巻は来月に出るそうなのでそれまでとっておくことにします。


 わたしは周りに競輪客が1人も居ない状況の中、好奇心で競輪を打ち始めたクチなんですが、打ち始める前からこの漫画やテレビ中継で競輪を見ていました。たぶん、競輪を打ち始めるきっかけの何割かはこの漫画によるものだと思います。初めて行ったのは8年ほど前の奈良のSシ2日目で安福やら川原(大阪)やら池尻やら藤田和彦などが出ていたのですが、1Rから打って当たったのはA級準決勝の中川武志(奈良)の押し切りドスジ200円のみ。いやもう悔しくて面白くて、これはもっと勉強しなくちゃと思い、かといって他にまっとうな教材がなかったもんですから、しばらくはギャンブルレーサーを枕元に置いて、レース展開の部分を毎晩くり返し読んでいました。最初のほうの巻には巻末に賞金表や得点表、競技規則の説明なんかもあって、インターネットによる情報公開が進んでいなかった時代にあってはとても勉強になりました。


 それからもずっと単行本は出る度に買っていたのですが、主人公の弟子が増えるにしたがって、レース描写がマンネリ化したり、初期の頃の魅力であったロクデナシな登場人物の出番が減ったりして、いつのまにか何度も読み返すことはなくなってしまいました。最近は競輪界や社会への風刺が多くなりましたね。それまでにも風刺はあったのですが、最近のは以前ほどのウィットがなくなり、重苦しい感じがしていました。実際競輪を取り巻く状況は大変重苦しいわけですが、作者の加齢も感じられます。


 この『二輪乃書』になってからの第6巻は、いきなり、松戸ダービーが売り上げゼロに終わったことを説明するコマから始まります。続いて松戸の売り上げを持ち逃げしようとした千葉県知事批判。日自振の会長交代劇にもツッコミます。あげくに主人公関優勝やその弟子で全盛期を過ぎた連中は転職を決める始末。141p、関はこう独白します

チクショ〜。本来ならこの地球上で競輪ほど面白いものはねえのによ・・・


 その後弟子たちは残り少ない選手生活を大事に戦っていこうとの決意のもと必死になってレースに臨んだところ、負けてもそのレース内容を客に賞賛され、転職を撤回します。続いて出走した関はチギれて客に馬鹿にされ、転職の決意を新たにするのですが、これはこの作者のお約束のオチですね。


 このへんのくだりは読んでてちょっとジーンときてしまいました。一戦一戦に死力を尽くすのが選手の基本、現場に行ってダラダラ打ちながらヤジや声援を送るのが客の基本なのかもしれません。書を捨てよ、競輪場に行こう。


 余談ですが、ギャンブルレーサーって競輪広報大賞を一度も獲らなかったですよね。去年の大賞ではファンの推薦文一覧がサイトに載ってましたけど、ギャンブルレーサーはかなりの票を集めていたのにもかかわらず受賞しませんでした。雇われ選考委員としては舌鋒鋭く競輪界を批判する作品に賞はやれなかったんでしょうし、作者ももらいたいとは思わなかったでしょうけどね。今年一覧を公開しなかったのは、多くの票を集めるギャンブルレーサーが受賞しない不自然さを隠すためと考えるのは穿ち過ぎでしょうか?