特観席をVIPルームに


 昨日少し書きましたように、わたしは特観席に一度も入ったことがありません。落ち着きがないので、あちこちうろうろしているほうがいいんです。あと、1レースから行くことも滅多にないし。競馬やってた頃を含めても2回だけ。一度は京都競馬場の、単に席が確保されているだけという一番安い席で、もう一度は10年も前ですけど阪神競馬場の来賓席というのに潜り込んだことがあります。来賓席といっても主に会社の接待などに使われる席のようで、わたしもすでに社会人だった大学の先輩に券が余ってるからと誘われて行ってみたというわけです。クロークがあったり簡単なドレスコードがあったり当時まだ珍しかった席ごとのモニターがあったりと一応それらしいのですが、席数がざっと見て200やそこらありそうだったので、偉い人が来るほんとの来賓席はまた別にあるんでしょうね。しかし、そんなところに紛れ込んだハタチの若造は見栄張っていつもより多めに張り込んだところ、見事にノーホーラを食らってオナラが出るほど負けてしまいました。あの日の負け額が未だに1日最高負け額です。あと専用食堂ではカツ丼がたしか1300円もしたので、飯は下に降りて食いました。


 森巣博のバクチ関係の本を読んでおりますと*1、カジノ(森巣によりますと「カシノ」と表記するのが正しいそうです)の話がたくさん出てきます。海外のカジノはホテルに併設されていることが多いですが、カジノで大勝ちした客にはカジノ側が勝手にホテルのスイートを取って(もちろん無料)盛大にもてなすんだそうです。もてなされた客は悪い気はしませんから、さらに滞在して勝った銭を他に消費することなく突っ込み続けます。カジノ賭博では客がバカヅキしている場合、負け客だけではなくカジノ側にも損失が出ていることが多いですから、回収のためにもツキが消えるまで銭を張り続けてもらわないといけないという側面もあります。


 さて競輪でもファンサービスの重要性が説かれていますが、経費節減のために特観席のサービスが低下したり、スタンドが老朽化して特観席のアドバンテージがたいしてなくなったり、また、そういった事情や客全体の減少から特観を利用する客が減って、席の値段を下げたりということが起っています。特観席を設置する狙いは快適な観戦空間を提供して多くの銭を突っ込んでもらうということですが、席に魅力が無くなれば目的を達することはできません。


 そこで提案なのですが、特観席の一部を改装して完全な別空間のVIPルームを作るというのはどうでしょうか。VIPルームに入れるのは偉い人じゃなくて、高額払い戻しを受けた客。窓口で50万なり100万なりの払い戻しを受けた客にVIPルームのチケットを渡すようにします。VIPルームに行ってみるとそこにいるのは同じように高額払い戻しを受けたやり手(または張り額の多い)客ばかりです。そこではゴージャスにもてなされながら、お互い見栄と意地を張り合って、大枚が飛び交います。


 競輪場の場合、客が勝とうが負けようが実入りはあるのでどんどこ張ってくれることだけが全てです。競輪で大勝ちした金をしっかり競輪に投入してもらう手を考えなければなりません。なので、客全体に対するサービスをしっかりやるのはもちろんですが、大勝ちした客はもっともてなさないといけないと思うのです。また、イメージ戦略がうまくいけばVIPルームを目指してどんどこ張ってくれる客が大勢出てくることも期待できるかもしれません。


 というようなことを考えてみたのですが、わたしゃ基本的に電投で1枚2枚をチマチマ打ってるような客なのでトンチンカンなことを言ってるのかもしれません。

*1:この人いろいろ書いてますけど、バクチのこと書いてるのが一番おもしろい。