これなら出せる!競輪新書のプレゼンテーション


 一昨日のエントリの続きです。


 端的に『競輪入門』なんてのが岩波新書中公新書あたりから出たら面白いんですけど、無理か。同じように斜陽のジャズに関する入門書は最近の新書の定番なんですけどねえ。原田和典までが最近ジャズの新書出しててびっくり(ISBN:4334033679)。目次だけ見たら実に中途半端な本でしたけど。原田の仕事ならばこちらに勝るものなし↓

元祖コテコテ・デラックス―Groove,Funk&Soul (ジャズ批評ブックス)

元祖コテコテ・デラックス―Groove,Funk&Soul (ジャズ批評ブックス)


 初手から話がジャズのほうに逸れましたけど、自分のなかでは競輪もジャズのような半古典的半教養的なポピュラーカルチャーです。だから競輪も新書メディアに乗ってしかるべきなのです。


 さて本題に戻りますが、「こういうのがあったらいいな」というよりは「こういうのなら出せるのでは」と思うようなものをまずいくつか挙げてみます。

中野浩一 - 10年間世界に君臨した男にみるなんたらかんたら』

 非競輪客にとっては、単に(元)カツラーだったり、いまだに「ポイ捨てキンシ〜!」だったり、すごかったらしいけどどうすごいのかイマイチよくわからないおっさんだったりする中野の評伝を、褒章もらった(参照)今こそ世に出すべきです。世界王座に君臨し続けていた男の評伝はぷちナショおやじ&若者の心をゲットします。「武士道精神」とかその手の手合いが好きそうなことを中野に語らせるのも有効です。隠し味として中野が使用したナガサワフレームのものづくり*1へのこだわりなんかも。さりげなく競輪の仕組みを説明することも忘れてはいけません。PHP新書向け。

『競輪選手に学ぶ○○術』

 上のとちょっと雰囲気がかぶりますけど、こちらはいろんな選手を題材にした自己啓発Lifehack本です。世にその手の本はゴマンとありますが、自己啓発マニアな人たちは常にまだ誰も知らない自己啓発法を求めるものです。『ヤクザに学ぶ…』なんてのが根強く売れるのも、誰も知らないことが書いてあるに違いない、と買う人の心をくすぐるからでしょう。その点、競輪の世界も非競輪客にとっては異世界という他なく、バッチリです。「効率よく練習する方法」「マーク屋の人心掌握術」「自在選手に学ぶ決断力の磨き方」などなどを、競輪選手の実例と実生活への応用の二段構えで構成します。読者は自然と競輪の仕組みを覚えさせられ、興味をそそられることでしょう。宝島新書とかベスト新書向け。

『ボケないために - 公営競技で頭の体操』

 定年退職者狙いです。このテーマで一冊丸々競輪は厳しいでしょうから、全ての公営ばくちを採り上げた上で、ボケないためには競輪が一番頭の体操として有効であるとしてクローズアップする構成がよいでしょう。何時の世も不安を煽るのは商売の常道です。細木和子とか。『自転車で快適生活』みたいな本の一章を割いて競輪が頭の体操になることをアピールする手もあります。講談社プラスアルファ新書向け。
 

『日本の自転車文化』

 昔聞いた話ですが、ヨーロッパの自転車啓蒙活動家が来日した際、ばあさんが自転車で荷車を曳いているのを見て驚いたそうです。欧米では、サイクルメッセンジャーの登場以前は自転車はあくまでフィットネスか移動の手段であり、運搬の手段として見られていませんでしたから。そんなわけで、ばくちとしての自転車レースも含めて、欧米と一線を画す独自の発展を遂げた我が国の自転車文化を検証する作業が必要です。やはり大きく採り上げるべきは競輪の独特のレース文化と社会貢献。後者は海外サイトにおいて競輪を紹介する文章でも必ずクローズアップされています。ちくま新書中公新書向け。



そして新潮新書向けにはやはりこれでしょう。↓
http://d.hatena.ne.jp/zevon/20060421/1145621600

*1:これもオヤジの萌え要素