記念競輪、川崎・小田原で…赤字解消へ開催方針

しかし、競輪最高峰のS級選手が出場するため、人気が高い記念競輪は、1回の開催で最大200億円を売り上げるドル箱レース。利益分散を図るため、各競輪場の名前を冠した年1回の「開設記念」しか認められていなかった。

 このため、県競輪組合は、最終的な収支改善計画を国へ提出する前に、他の競輪場を借り上げて行う記念競輪の開催理由について「赤字解消が目的」と強調、全国の競輪組合などから同意を集めた。

 一方、競輪事業を所管する同省も、花月園競輪の事業廃止方針を受け、「衰退する競輪業界に歯止めをかけ、全体の売り上げにつながる方策を取る必要がある」(車両課)と、これまでの方針を転換。記念競輪を、自前の競輪場に限定した年1回開催にこだわらず、借り上げによる開催を了承する方向にかじを切って、15日の審議会で、県競輪組合の方針が了承される見通しとなった。

 ダービーでさえ170億しか売れないのに記念が200億売れるかいなというツッコミができますが、それはさておき、廃止決定の記事でも触れられていました(参照)、借り上げによる記念開催が実現しそうです。もともと神奈川県競輪組合は川崎と小田原で借り上げ開催を行っており、そちらは花月園廃止後も継続が表明されています。

 さて、借り上げによる記念開催の是非についてちょっと考えてみたいと思います。

 この花月園の場合は元々花月園記念があった枠に1つ入るというわけですので日程の過密化ということは起きません。川崎や小田原には新規客ゲットの可能性がある大レースをタダで増やせるメリットがあります。広報費用などは県競輪組合持ちですからね。さらに川崎・小田原は県競輪組合から施設利用料もゲットできます。

 なんだか良い事ずくめのようにも見えますが…

同省によると、全国の競輪場の売り上げは1991年度の約1兆9600億円をピークに減少、2008年度は約7900億円にまで落ち込み、経営難から最近では、福岡県門司、兵庫県西宮、甲子園などの競輪が相次いで廃止された。競輪場の借り上げによる記念競輪が実現すれば、経営悪化した競輪組合が、再建に踏み出す有力な手法となりそうだ。

 記事ではこの手法を他の競輪場でも有効な手段として使えるように記述されています。しかしこれを乱発すると前述した日程過密化の問題が起きますし、例えば大津びわこのような累積赤字を抱えた競輪場に廃止のインセンティブを与えてしまいます。あくまで借り上げ記念開催は花月園のみの特例として運用すべきと考えます。