高千穂遙先生の歴史的提言について
funride (ファンライド) 2011年 02月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: アールビーズ
- 発売日: 2011/01/20
- メディア: 雑誌
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どちらかというとサイクリング愛好者やホビーレーサー向けの自転車雑誌『funride』誌にSF作家、最近では自転車愛好家としても知られる高千穂遙先生のエッセイが連載されています。数日前ツイッターで、そのエッセイにおいて高千穂先生が車券の購入を呼びかけているとの情報を得ました。そこで同誌を購入し読んでみましたところ本当でした。それもかなり熱い筆致で呼びかけが行われているのです。
エッセイの内容ですが、まず予定を変更した緊急提言であることを述べてはじまります。すでに尋常ではありません。そしてロードレースチーム宇都宮ブリッツェン栗村修監督のブログを引用し、ロードレースが競輪の補助金頼みである現状を述べ、競輪とロードレースが現状においては一蓮托生であるとします。それを前提として、読者に、競輪に目を向けてくれるようにお願いするのです。その後半部分は覚悟に満ちた緊張感のあるもので、熱意もすごく伝わってきます。競輪客として涙が出そうになりました。是非皆さんにも読んでほしいです。週末には次号が出ますのでもう本屋にはないかもしれませんけど、機会があればぜひに。
高千穂遙さんといえば、昨今の自転車ブームのなかでも数少ない、ほんとうに希少な、競輪にも理解を示す文化人としても知られています。以前にも下記の本の中で競輪を取材した文章を執筆していますし、ツイッター(@takachihoharuka)においてもときどき競輪の話題をつぶやかれることがあります。
- 作者: 高千穂遙,一本木蛮
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/07/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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それだけに、自転車業界の中で競輪の置かれている立ち位置に敏感だったのではないでしょうか。ある意味タブー視されていますよね、競輪って。エコでロハスでオサレの代名詞のスポーツサイクルと汚くて落ち目で場末の代名詞の競輪。自転車業界人の中には一緒にされたくないと考える人も多いでしょう。*1上の『じてんしゃ日記2008』のアマゾンレビューにも、競輪を紹介した文章に拒否感を表明するものがありました。わたしもつい最近自転車屋さんでチラっと競輪のことをしゃべったところ「競輪?あれはいけませんよ」と言われました。
しかし現実は競輪の補助金がないと成り立たないロードレースや自転車イベントは多いのです。それでも競輪を救えという声は業界からは上がらなかった。自分が泥をかぶるのはみんないやですからね。そういう声が非難されることもありましょう。高千穂先生もエッセイの末尾にこう述べています。
これは、一種よけいな提言だ。それはわかっている。迷惑に思われる方もいるだろう。それでも、わたしはこうやって書かずにはいられない。
競輪にも目を向けてくださいと。
勇気ある提言に拍手を送るとともに、これに続く動きが出ることを期待してやみません。
競輪客であると同時にサイクリストであるわたしからもロードレースファンや自転車愛好家に訴えたいと思います。過去のことは水に流し、偏見を捨てて、共にこの国の自転車文化を守って行きましょうよ。ニコニコ動画のタグに「振り込めない詐欺」というのがあります。無料にもかかわらず素晴らしいコンテンツを発表した作者に対する敬意を表すタグです。ツアーオブジャパンやジャパンカップサイクルロードレースを観戦して、感動と興奮に包まれて観戦料を払いたくなったら競輪場に来て車券を買ってくださいよ。一回の観戦料でロードとトラックの素晴らしい戦いを二度見ることができます。なんて素晴らしいのでしょう。なおかつお金が倍にも十倍にもなって返ってくるかもしれないんですよ。そのお金で愛車のティアグラを105にアップグレードできたら素敵じゃないですか?
*1:競輪派にもいるかもしれません