チーム中野はケイリンの金メダルを獲りにゆく。

 ロードとトラックの自転車のロンドンオリンピックパラリンピック日本代表候補選手が決まりましたね。自転車トラック男子は事実上、渡邊一成、新田祐大中川誠一郎、雨谷一樹の4人のうちから3人、というよりも新田か雨谷のどちらを選ぶかという情勢だったわけですが、新田を選びました。前回までの五輪のようにチームスプリントを最優先すれば長塚以来の第一走者のスペシャリストである雨谷を選ぶのがベストなわけですが、新田を選んだ理由はこちらの記事(参照)の中野強化委員長のコメントにあります。

どの種目が一番メダルに近いかを考えながら、派遣、強化を行ってきた。メダルに一番近い種目はケイリンだと考えている。ケイリンの強化、脚力の強化をはかり、最終的に全選手記録が伸びた。
最終的に雨谷くんを選ぶと、他の種目が自動的に誰が出場するか決まってしまう。

今回選ばれた3人がチームスプリントを走ることは決まっているが、他の個人種目に誰が出るかはまだ決めていない。その種目に一番力を発揮できる選手を選ぼうと思っている。チームの中には競争がないといけない、競争がいつまでも続いたほうがいいのでは、というのが私の考え。

 短いですが、記者会見の動画です(参照)

 こう言ってはなんですけど、雨谷は個人競技の実績では他の三人に劣りますからね。それにチーム中野の大テーマは競輪でも競技でも勝てるスーパースターを輩出することです。雨谷はまだ若い。アテネ五輪選考でもれて北京で雪辱した永井清史のようにこれをバネにして、競輪でも個人競技でも上に上がって欲しいと思います。次の五輪では必ず必要な人材です。

 さて、この3人でチームスプリントを戦い、うち2人が(ないし1人が掛け持ちで)個人競技ケイリンとスプリントに出場ということになりました。スプリントではこれまで200mTTのタイムが足りずに苦戦を強いられてきましたが、ここにきて日本勢も渡邊が10秒の壁を破るなど急成長。中川誠一郎も世界選で10秒フラットを出しています。新田は現状タイムが足りない状況ですが、一番若ければ伸び代も大きいでしょう。

 そして最重要種目のケイリンケイリンで金を取ってこそ真のスーパースターです。もし五輪を通じて他の種目の日本勢が低調な中ケイリンで金メダルを獲ればひょっとすれば競輪人気復活の目もなきにしもあらずです。そういう意味でも最重要種目なのです。ケイリン代表には今のところの実績では渡邊一成が一歩リードでしょうか。しかし新田も渡邊同様、先の世界選予選で勝利しています。新田はTT以上に実戦で強さを発揮する選手ですからケイリンこその期待が持てます。中川誠一郎さんはケイリンよりもスプリントのタイプでしょうか。渡邊・新田を中心に竸って竸って競りまくって高みを目指して欲しいところです。


 そうそう、もう一人ロンドンを走る競輪選手がいます。伊藤保文がパラリンピックにタンデム種目のパイロットとして出ます。こちらにも注目です。

 
 去年発足したチーム中野は着実に力を付けてきています。今までは世界選で惨敗後、何ヶ月かでなんとか間に合わせるといった感じでしたけど、今回は世界選でも一定の成果を出しました。メダルに一歩届かなかったといったあたりが五輪本番へのモチベーションとしてはよいほうに出るかもしれません。競輪選手が出る5回目の五輪ですけど、今回が一番やってくれそうな予感がします。もしケイリンに銭が賭けれたらもちろん、白・グレー・赤の三色のジャージに賭けますよ。