ちんどん

wadachi

岸和田記念の宣伝のために大垣にチンドン屋さんが出ていたけど、今開催中の伊東温泉記念でもチンドン屋さんが場内を賑やかしているそうだ。
競輪もチンドンも昭和の文化。一般には過去のものと看做されている。どちらも(いい意味で)洗練されていないところが好きだ。熟練の楽士のクラリネットやサックスの音は、そりゃクラシックの奏者のように雑音の一粒もない音ではないし、きれいなハーモニーもついてないけれども、ノイズや息遣いが街の音ときれいに交わった人間味あふれる日本独特のものだ。競輪も、選手も客もあえて言いませんがいろんな意味で人間味にあふれ、これまた日本独特の文化。
じゃがたらや最初期の渋さ知らズなどでサックスを吹いていた篠田昌己は80年代に実際にちんどん屋さんに入門して、チンドンのCDを出したり、チンドンや世界中の俗謡にインスパイアされた自らの音楽を生み出した。

篠田昌己 / 東京チンドンvol.1*1
コンポステラ / Wadachi az


残念ながら若くして亡くなってしまったけど、影響を受けたり遺志を受け継ぐ音楽家は多い。


シカラムータ / ゴースト・サーカスaz
ソウルフラワーモノノケサミット / レヴェラーズ・チンドンaz


もちろん全国には現役のチンドン屋さんはまだまだいるし、若い楽士も出てきている。富山では毎年春にもう何十年も全日本チンドンコンクールという街を上げての催しが行われているし、今年は無かったけど全国ちんどん博覧会(略してチンパク)というイベントもある。競輪もこういった形でほそぼそとでも残っていけたら・・・というのは収益事業の宿命として無理なのかな。どうせ文化とは認められないだろうし。



さてそんなこととは関係なく、明日の伊東記念決勝の並びは
赤井-水書-松永-高木/稲垣-小倉-吉岡-江嶋/小林大
積極性に勝る水書が後ろを回る千葉の並びは意外だけれど、こういうときは得てして二段駆け。二分戦では、
1.イン粘り
2.叩き合い
3.すんなりの一本棒
を検討しなければいけないけど、ここは2か3。準決勝で初イン粘りを成功させた単騎の小林大だけど、ここは切れ目切れ目の公算大。吉岡は2を期待して稲垣ラインに付けたんだろうけど、気楽に走れる稲垣は駆けてもホームカマシだろう。叩き合いは7:3でないと見る。叩き合いなら吉岡だが。ホームカマシでも、ダッシュのいい稲垣は最悪2番手くらいまでは上昇できるだろうから、それに乗って仕掛ける吉岡がやはり有利。稲垣の仕掛けがそれ以上遅かったら切り替えていない限り吉岡は要らないが、ヤンググランプリ前の稲垣は長めにもがいておきたいはず。
吉岡中心だが、ギアを1枚上げてきた「逃げる47歳」江嶋の差し目が決まれば年の瀬にちょっといい話。4番手でも、直線頭振って中割ってくる高木は要注意。
吉岡=江嶋 吉岡-松永 吉岡-小倉 吉岡-高木

*1:入手困難かもしれないけど、チンドンに関する詳細なブックレットも付いた名盤。実況録音編はバイトで参加した江戸アケミの見事な呼び込み口上で終わる。